2011年02月20日

行動調査「駆け落ち」・大田区・愛人調査

PICT0211_convert_20110223130953.jpg ここは、目黒から私鉄線に乗り換え、とある駅から歩いて10分ほどの住宅地。 
目の前にあるのは萎びた木造の2階建ての賃貸アパート。 共同玄関で履物を脱いで上がる作りで、部屋は一間に風呂のない単身者用住居である。

 目指す被調査人(調査対象者)は、原日出子似の色白でややふっくらした男好きのするタイプで近くのスーパーで惣菜を買ってこのアパートに入ったばかりだ。 

 年配の調査員に部屋の割り出しをするように頼むと、2〜3分で出てくる。調査員は「2階の角部屋から話し声聞こえ、他の部屋はどれも留守だ」と言う。 
 
 平日の午後3時頃であれば留守宅ばかりなので、話し声が聞こえた部屋に間違いはないだろう。 いわゆる不倫調査のこの仕事は、4〜5日はかかると踏んでいたが、初日で終わりそうな様子であ
る。

 依頼者は50年配の勤め人の夫。依頼者に直接会ってはいないが、紹介者の情報では、妻・みどり(仮名)が4日前から帰っていない。
 
 間違いなく男がいる。
 この半年ほどある企業の社員食堂で賄いのパートに出ているが、酒を飲んで帰ることもあるし時間 も一定していないらしい。

 みどりは19歳の息子と夫との3人暮らしで今年42才になる。

 着手金20万円と写真を預かり一通りの特徴・趣味嗜好品を聞く。親類に頼れる所はないとのことで、社員食堂に出社していないことを確認する。 

 もちろん、依頼者である夫の性格・趣味・嗜好品も聞いてある。
 なぜかといえば、なんでも知ることにより調査員の想像から勘がはたらくようになるからで、それが当たらなくてもよい。モチベーションも維持できるから直接面談していたら性生活(具体的に月何回とか、好みの体位)も聞きたいところである。

 情報は少ないがそれだけに的を搾りやすい。 社員食堂の責任者に口外しないように(きっと、口外する。)みどりの最近の様子・噂を聞く。 食堂の客とはまず接触がないことや調理場の男性は55歳の独身板長・30代中半の既婚者二人。 

 責任者は年のころ40台半ばの体重100キロはありそうなデブで、禿げかかった頭を意識しながら(調査員が一瞬目をやったのが、まずかった。)得意気に話してくれた。 

 55歳の板長とは剃りが合わないらしい。 「無口な板長だが、みどりとは無駄話もよくしていた。」と話してくれたが、呼び捨てが気になった。口の軽い嫌な奴である。

 頼んで遠くから働く板長をチェックすると、高倉健をチビにした風体で、角刈りでムスっとしている。気難しそうな男である。 高倉健と原日出子。なんとなく合わないこともない
                                         つづく
            mirai@partner-8107.net パートナー探偵社 宇佐美 健
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2011年02月24日

ありふれた駆け落ち2・大田区・愛人調査

PICT0211_convert_20110223130953.jpgありふれた駆け落ち

 取材したことで、こちらが板長に目星をつけたと食堂責任者に気付かれても致し方ない。 日にちを空けると予想外の行動を起こされることがあるので、警戒されることを承知の上で本日張り込みを開始する。 

 食堂の営業は朝食とランチタイムだけなので、余裕を持って13時から通用門と正面出入り口にて張り込む。

 警戒している場合と無警戒とでは、尾行の仕方は違う。かといって無警戒の相手に警戒している相手のような尾行をしてもうまくいかない。
 素人でも気を抜かなければ無警戒の相手には上手くいくが、警戒している相手には、尾行開始から10秒程でで気付かれるか、尾行の継続はできなくなる。 

 勤務先の社員食堂からこのボロアパートまで板長は歩いてまっすぐ帰宅した。 警戒の様子は微塵もなく、普通の人がそうであるように20分の道のりをただの一度も振り返ることはなくアパートに入った。

 5分も立たないうちに、みどりが財布と買物袋を提げてアパートから出てくる。 近所に買い物に行く素振りなので、追尾は一人に任せアパートの張り込みも継続する。 

 このアパートが二人の仮の住まいかどうかは分からないが早速、依頼者に報告だ。 

 この時が探偵の仕事の集大成であり疲れも何処かへ吹っ飛ぶ。 

 みどりがスーパーで食料品とビール半ダースを買って、アパートに戻る。
 約1時間後、依頼者が息子とみどりの小父と名乗る年配者と一緒に現れる。小父は頑固そうな堅物で鼻息も荒く会えば飛び掛りそうな雰囲気を出している。

 初対面なのでこちらから声をかけ、危険物を持っていないか型通りの身体検査を施す。 気を沈める為に、今後のことなどを聴きながら5分ほど経過する。 

 小父が一番興奮して、依頼者はボーっとしている。息子の悲しそうな表情が印象的で声をかけても反応が薄い。

 これからが探偵の最後の仕上げで、みどりにアパートの部屋のドアを開けさせ依頼者と会わせることが残っている。 依頼者3人を引き連れ部屋の前に立たせる。探偵がノックをして「下の部屋の○○ですが」と言っただけで、みどりが無警戒に明るい声で「は〜い」とドアを開ける。

 目の前に立っていたのは、息子と夫、それに堅物の小父である。
 何度も経験した光景であるが、このときのみどりは、口は開いているが声は出ず、目はまんまるく見開き少し茶色に染めたショートヘヤーの髪が、間違いなく逆立ったのを探偵は見た。 色白のみどりの顔が少しピンク色に染まっていたのは酒のせいだけだったのだろうか。

 この場で探偵は用無しである。後は大人同士の話し合いが朝まで続くだろう。 調査が終わった後はいつもそうであるが、何処か頭の芯が興奮して、なかなか寝付けない。 相棒と酒を飲んでまた反省会だ。乾杯。


 後日紹介者から、みどりは板長と別れ家族の元に戻ったと報告を受ける。 みどりは家に戻ると決心した以上、二度とこのような事を起こすことはないだろう。 家族も受け入れたのだからきっとうまくやって行く気持ちがあるのだろう。 

 探偵としては、この家族が人一倍幸せとまでは成らなくとも充分役に立てたと自負している。
乾杯。 

         mirai@partner-8107.net パートナー探偵社  宇佐美 健 

 
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2011年02月27日

張り込み・大田区・愛人調査

PICT0211_convert_20110223130953.jpg何を隠そう私はものぐさである。 35年間も探偵をやってこれたのはハッキリいって面白いからで、一度やると他の仕事は考えられない。

 それでも、張り込み尾行はとっても辛いときがある。 若いときは、張り込みが嫌で嫌で、尾行に切り替わればワクワクしてどこまでもついてゆくのが当たり前だった。
 
 この年になると、張り込みもなかなか味があって世間を俯瞰出来る貴重な一時である。

 ある時、マージャンが好きな被調査人(対象者)が雀荘に入った。 依頼は妻からの浮気調査だが、女と絶対に会うから写真が欲しいとの事。 

 成功報酬ではないので時間がかかればそれだけ報酬がもらえるのだが、既に30数時間雀荘に入りっぱなし。 車内での張り込みだが、約20時間目に近所から通報され、覆面パトカーに張り込み車の前後を挟まれた。

 聞けば「マル暴」の刑事だった。 いつものように「家出人捜索」と、嘘か本当かわからないようなことを言って引き上げてもらった。疲れて目の血走った男が二人で長時間居れば通報もされる。

 探偵というとほとんどの警官は理解してくれて、通報者にも取り成してくれる。

 探偵社には、前もって警察に話しておけば問題ないと言っているところもあるが、前もって警察に話して張り込むなんて探偵のする仕事ではない。現場をあまり知らない調査員か営業マンの依頼者を安心させるための口実である。 

 当時は、どうしても耐えられなくて近くの公衆電話から110番して「雀荘のものだけどヤクザ見たいな客が揉めている」と通報した。

 隠れていると約5分後、パトカー2台と自転車の警官2名がやってくる。  その後30分ほどで、被調査人が出てきてタクシーで真っ直ぐ帰宅した。

 こらは絶対にしてはいけない卑怯な手段である。周りに迷惑もかけるし被調査人が気分を害して予定を変更したかもしれない。

 依頼者は当てが外れたのか長時間の調査料を払ってくれたが、その後全く追加依頼は来なくなった。 「マージャンをしない被調査人ならば、次回の調査料は大幅におまけをして結果が出るまで付き合ったのに。」と当時は思った。 

 探偵が張り込み中に何を考えているかというと、経験則で考えられるだけの仮説は立てるが、ボーっとしているか世間話をしている。

 張り込み中、緊張をし続けているのはまだ間もない探偵である。 教育中はそうは教えないが、人間の緊張はそんなに続くものではない。 いざ、尾行に移った時に見事に切り替え全力で緊張して追尾する。

 そのメリハリがプロの所以である。 依然テレビの取材で私と同年齢の男優が「プロって、いかに(どこで)に手を抜くかと言う事ですよね。」と言っていた。 もちろん、通報したのはプロの手抜きではありません。

   mirai@partner-8107.net パートナー探偵社     宇佐美 健
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